ミツバチのささやき
ミツバチのささやき(El espíritu de la colmena)直訳すると「蜂の巣の精霊」
フランシスコ・フランコによる独裁政治が終了する数年前(1973年)に製作、
その独裁が始まるスペイン内戦終結直後の1940年を舞台。
1931年製作のアメリカのホラー映画『フランケンシュタイン』の移動映画館での上映をベースに、
主人公である娘、少女アナの純真な目を通して
フランケンシュタインの上映を見て
少女の「どうして殺したの?」の瞳だけで
この映画に魅られます。
コロナ化時代の今
2021年2月25日最後のフランコ像が撤去された。
利権がまかり通り、原発再稼働している、
テレビは批判を忘れ、右傾斜している日本は、
どんな時代なんだろうと
少女の目にどう映っているんでしょう。
ストーリー
スペインのカスティーリャ地方の小さな村にある豪邸に
住む、裕福な家(おそらく地主)に
5歳の内気なアナは父フェルナンド、母テレサ、姉イサベルと暮らしている。
時は1940年、フランコ反乱軍が「選挙で勝利した人民戦線政府」に武力制圧し、
スペイン内戦が終結した直後である。
父はミツバチの研究に没頭し、書斎に閉じこもっている。
母は内戦時に離れ離れになった生死も判らない愛人に手紙を書き続ける。
姉のイサベルは、いつもだまされやすいアナをからかってばかりいる。
移動映画が町にやってきて『フランケンシュタイン』が上映される。
「なぜ、彼(フランケンシュタイン)は彼女(少女)を殺したの?なぜ、みんなは彼(フランケンシュタイン)を殺したの?」とアナは、自分より年上の幼い姉に訊く。
イサベルは、「映画は全部作り物だから、と答える。」
また、「フランケンシュタインは精霊のだから、一度友達になれば、いつどこにいても会える」と言う。
ある夜、一人の逃亡者が汽車から飛び降り、負傷しながら廃墟へと逃げこんだ。
翌日アナは彼を見つけ、食べ物と父の上着を届ける。逃亡者はあっけなく追っ手に撃ち殺される。
警察は上着とポケットに入っていた懐中時計を見せてフェルナンドに男について尋ねる。
フェルナンドが家族で食事をする際、時計を取り出すとアナの様子がおかしいことに気づいた。
セリフ
フェルナンドの手記
「このガラス製のミツバチの巣箱では
蜂の動きは時計の歯車のようによく見える。
巣の中での蜂の活動は、絶え間なく神秘的だ。
他の働き蜂は、生きたハシゴのようだ
房室を出れば、眠りはない、幼虫を待つのは労働のみ
唯一の休息たる死も
この巣から遠く離れねば得らない。
キャスト
※撮影当時アナは5歳だから役名と芸名で混乱しないよう
付けられた。
フェルナンド(父) =フェルナンド・フェルナン・ゴメス
テレサ(母)= テレサ・ヒンペラ
アナ (主人公の少女5歳)=アナ・トレント
イサベル(姉)= イサベル・テリェリア
逃亡者 - ジュアン・マルガロ
スタッフ
監督 ビクトル・エリセ
脚本 ビクトル・エリセ/アンヘル・フェルナンデス・サントス
製作 エリアス・ケレヘタ
音楽 ルイス・デ・パブロ
撮影 ルイス・カドラード
配給 フランス映画社
公開 スペイン1973年10月8日
日本では12年も経過して 1985年2月9日公開
上映時間 99分
製作国・言語 スペイン
受賞
シカゴ国際映画祭 シルバー・ヒューゴ(1973年)
サン・セバスティアン国際映画祭 コンチャ・デ・オロ - ビクトル・エリセ(1973年)
スペイン映画記者協会賞 最優秀作品賞/最優秀男優賞 - フェルナンド・フェルナン・ゴメス/最優秀監督賞 - ビクトル・エリセ(1974年)
最優秀スペイン映画俳優 -
アナ・トレント(1974年)
ラテン・エンターテイメント批評家協会賞 映画部門: 最優秀女優賞 -
最優秀監督賞 - ビクトル・エリセ(1977年)
時代背景
スペイン内戦1936年~1938年フランコ総統独裁時代(人民戦線選挙勝利から内戦のスペイン北部の片田舎)
※フランコ総統(元師)
1892年(明治25年)12月4日生れユダヤ系で父も祖父も海軍軍人 で
スペインラ・コルーニャ県 フェロル(海軍基地のある)
1910年陸軍士官学校卒業
1912年(24歳)陸軍少尉でスペイン領モロッコ赴任原住民(アラブ人)の相次ぐ反乱を鎮圧
たった14年で
1926年33歳で准将
激しいスペイン内戦の末、総選挙で選ばれた左派人民戦線政府を覆して
※新政府にフランコはカナリア諸島司令官に左遷
1939年にフランコは実権を握った。教会、地主、貴族、富裕層らが支持した。
1939年国家元首となる。
1947年に国家首長継承法(スペイン語版)が制定されて、王国であると定められたが、フランコが死亡するまで国王は空位のまま
死去 1975年11月20日82歳老衰。
フランコの死によってフアン・カルロス1世が国王となる。
内戦により様々な対立から国民は分裂し、
5万人以上殺戮、27万人が拘束された。
戦後も人々は報復の恐怖から沈黙する日々が続いた。
この映画が製作された1973年には、フランコ独裁政権下の、未だ公に政権を批判することなどはできなかった。
ビクトル・エリセ監督の続編「エル・スール」1983年制作では
少女エストレーリャ(ソンソーレス・アラングレン)の物語続編。
エストレーリャは、
彼女が幼い頃、父親アグスティン(オメロ・アントヌッティ)は謎めいた人物の秘密に興味をそそられる。
やがて成長すると、
かつて父親に恋人イレーネ(オーロール・クレマン)がおり、
父親はまだイレーネを愛していることに気が付く。
https://youtu.be/Ox_Vs1T2AWM
サンパウロ国際映画祭 最優秀作品賞 受賞
シカゴ国際映画祭 最優秀作品賞 受賞
イベリコ・ブルデオス映画祭 最優秀作品賞 受賞
ガブリエラ・アマラウ・アウメイダ監督「翳りゆく父」
2016年に影響を与えた作品は「ミツバチのささやき」だそうです。https://youtu.be/jUNPi3ZiSj0
この記事へのコメント
間もなく、エゼキエル書38章に書かれている通り、ロシア・トルコ・イラン・スーダン・リビアが、イスラエルを攻撃します。そして、マタイの福音書24章に書かれている通り、世界中からクリスチャンが消えます。その前に、キリストに悔い改めて下さい。ヨハネの黙示録6章から19章を読めば分かりますが、携挙に取り残された後の7年間の患難時代は、苦痛と迫害の時代です。患難時代を経験しなくても良いように、携挙が起きる前に救われてください。